創業の形態【有限責任事業組合(LLP)・合同会社(LLC)】
新しい創業形態であるLLP・LLCについて知り、企業組合も合わせて、目的に応じてうまく活用しましょう。
創業の形態には、株式会社以外に有限責任事業組合(LLP)、合同会社(LLC)といったものがあります。
今回は特に有限責任事業組合(LLP)、合同会社(LLC)についてご説明いたします。
有限責任事業組合(LLP)制度
LLPとは
個人同士の共同事業、個人と企業の共同事業、企業同士の共同事業のためのパートナーシップとなる組織のことです。
機動性・柔軟性を有する企業形態であり、出資者同士が組合契約を作成して、出資金を払い込むことで設立され、設立後に登記を行います。
LLPの主な特徴
- 有限責任制で出資者のリスクを限定できる
- 組織の内部ルールを出資者が柔軟に設定できる(柔軟な組織設計や貢献度に応じた利益配分などが可能)
- 出資者に対し、直接課税される構成員課税(LLPは法人格のない組織組合です)
LLPの具体的な例
- 有限責任(出資者は出資額を超えて事業上の責任を負わない)
- 柔軟な組織設計(株式会社のような取締役・監査役の設置の必要なし)
- 貢献度に応じた利益配分(出資比率に縛られない)
- 構成員に課税(出資者に対して課税)
中堅企業 出資50% 利益配分30%
中小企業 出資45% 利益配分50%
ベンチャー起業家 出資5% 利益配分20% など
合同会社(LLC)制度
LLCとは
Limited Liability Companyの略で、2006年5月施行の会社法で創設された会社形態です。
人的資産を重視する事業の組織形態として、LLPとともに今後の活用が期待されています。
LLCの主な特徴
- 有限責任制で出資者のリスクを限定できる
- 組織の内部ルールを出資者が柔軟に設定できる(柔軟な組織設計や貢献度に応じた利益配分などが可能)
- 新しい会社類型(法人格を有し、課税は法人課税となる)
※従来の人的会社である合名・合資会社には無限責任社員の存在が義務付けられていましたが、合同会社(LLC)では出資者全員が有限責任社員となります。
企業組合制度
企業組合とは
個人事業者や勤労者・主婦・学生などの個人の方々および組合事業をサポートする法人など4人以上が組合員となり、働く場を創造するための組織です。
企業組合は、所管行政庁の認可によって、法人格を取得することができます。
企業組合のメリット
- 税制上の優遇措置が受けられる。
- 組合員は出資金以上の債務弁済の責任は負わない。
- 出資額の多少に関わらず、議決権・選挙権が平等に与えられる。
- 事業に従事する組合員に、勤労者としての地位が与えられる。
- 営利を追求できる組織である。
- 所管行政庁の認可を受けるため、社会的信用が得られる。
お問い合わせ先
中小企業団体中央会
所管行政庁とは、基本的に各都道府県、企業組合の行う事業が一部の業種に該当する場合、その業種を所管する各省庁となります。
沢辺税理士事務所からのワンポイントアドバイス
合同会社(LLC)は株式会社と比べて設立費用が安くなるため、法人を設立するときに合同会社を選択される方も増えております。
毎期の税務申告の方法は基本的には株式会社と変わりありません。
ただ、まだ世間の認識は株式会社より低くなってしまいます。
メリット・デメリットを考えて法人を設立して下さい。