出張した場合の旅費の損金算入について②
労働者が勤務地を離れて業務に従事する出張時に、滞在に要した諸経費の補てんや、勤務地を離れて業務に従事することに伴う精神・肉体的疲労に対する慰労という意味合いで日当が支給されることがあります。
この日当は、給与などと同じく会社が役員や従業員に対して支給するものですが、その出張について通常必要と認められる金額であれば、会社は旅費交通費などの科目で損金処理することができる上に、個人においては給与課税されません。さらに国内の出張であれば消費税の課税取引に該当し、仕入税額控除の対象にもなります。
上記の適用を受けることができる旅費の範囲については、所得税法基本通達9-3に規定されています。
9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。
(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
「適正なバランスが保たれている基準」として同業他社等と比較して高額になりすぎないように、さらに特定の役職に対してのみ手厚い支給をするといったことのないように、旅費規程を作成することが必要です。
出張の多い会社はもちろん、年に数回程度しか出張がない会社であっても税制面で非常に有利な規定ですので是非ご活用ください。
ただし自分以外の従業員を雇用している場合、旅費規程を作成するとその従業員に対する日当の支払いという余分なキャッシュアウトが増えることになりますので、福利厚生面なども考慮された上で旅費規程を作成されることをおすすめいたします。
和知