27年税制改正⑪ 財産債務明細書の見直し
平成27年度税制改正 第11回目~財産債務明細書の見直し~
今回は「財産債務明細書の見直し」についてご案内いたします。
(1)概要
財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに財産債務調書として整備する。
なお、この改正は平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用する。
①提出基準の見直し
現行の提出基準である「その年分の所得金額が2千万円超であること」に加え、「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」を提出基準とする。
②記載事項の見直し
現行の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の記載事項と同様の事項の記載を要することとする。
(注)財産の評価については、原則として「時価」とする。ただし、「見積価額」をすることもできることとする。また、有価証券等については、取得価額の記載も要することとする。
③過少申告加算税等の特例
国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税または相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置を講ずる。
*所得税・相続税の申告漏れがあった場合
・財産債務調書に記載がある部分については、過少(無)申告加算税を5%軽減します(所得税・相続税)
・財産債務調書の不提出・記載不備に係る部分については、過少(無)申告加算税を5%加重します(所得税)
<ポイント>
現行の「所得金額2千万円超」から、「所得金額2千万円超、かつ、総資産3億円以上」または「所得金額2千万円超、かつ、有価証券等1億円以上」に変わったため、提出基準は緩和されました。
しかし、記載事項が現行より具体的に記載することになり、記載漏れなどがあった場合に、修正申告等をするときは、過少申告加算税が加算されることになります。
星野