タワーマンションの固定資産税に補正率導入
少しずつ暖かい日も増えてきましたが、まだまだ朝晩は冷え込みますね。 春の陽気が待ち遠しい方も多いのではないでしょうか。
平成27年からの相続税引き上げにより、より一層富裕層の節税対策として利用されているタワーマンションの購入ですが、平成29年度税制改正において固定資産税に補正率が導入されることになりました。
タワーマンションの法的な定義はありませんが、一般的には20階以上60m以上のマンションのことをタワーマンションと呼んでいます。
現在、マンションの固定資産税は、土地の公示価格や建物の時価などを基に、1棟全体の評価額を算定し、床面積の割合に応じて税額を算出しています。 また、この固定資産評価額は相続税を算出する際にも用いられています。
これにより、タワーマンションは高階層ほど販売価格や資産価値が高いにもかかわらず、税額が押さえられるというメリットがあります。 さらに、現金のまま相続するよりも、相続税の金額も抑えやすいので節税効果が期待できます。
しかし、富裕層にしか使うことのできない節税対策のため批判もあり、このたびの改正では、実際の取引価格などに応じて税額を算出するように措置が講じられました。
【現行】
床面積が同じなら、どの階の税額も同じ
専有面積が同じなら、固定資産税や都市計画税も同じ
【平成30年から】
新築の高階層は増税となり、低階層は減税となる
同じ棟でも階層が1階上がると固定資産税が0.26%高くなる
※固定資産税だけでなく、都市計画税や不動産取得税についても補正率が導入されます。
この改正は、平成30年以降に引き渡す『新築マンション』から対象となりますので、平成29年中に完成して引渡しを受ければ、現行のままの固定資産税評価額が適用されます。
あくまでも『新築マンション』が対象になりますので、中古マンションであれば平成30年以降に引渡しを受けた場合でも現行の制度が適用されます。また、既存の物件についても現行のままの税制が適用されます。
この改正によって、これまでと比べると節税効果が期待できなくなります。 それにより建設ラッシュがやや鈍化し、タワーマンションの高階層の販売価格も少しは下がるかもしれませんね。
堀部真也