28年税制改正⑤ スイッチOTC薬控除の創設
適切な健康管理のもとで医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組(※)を行う個人が、いわゆるスイッチOTC医薬品を購入した場合、その購入対価の額(年間100,000円を限度とする)が年間12,000円を超えるときは、その超える部分の金額を所得控除することができる制度が創設されました。
※ 次の健診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る)
①特定健康診査
②予防接種
③定期健康診断
④健康診査
⑤がん検診
スイッチOTC医薬品とは、元来医療用医薬品として使われていた成分の有効性や安全性などに問題がないと判断され、薬局で店頭販売できる一般用医薬品に転換(スイッチ)されたものをいいます。OTCとは「Over The Counter」の略で、薬局のカウンター越しに販売するかたちに由来しています。
厚生労働省は、この特例の対象となる医薬品の成分や商品名をホームページ上で公開しています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
なお、この特例は現行の医療費控除と選択適用となります。
下記①と②のどちらが所得控除が多くなるかを検討する必要が出てきます。
① スイッチOTC医薬品の購入額-12,000円
② 医療費控除の対象となる医薬品の購入費用や療養費用など-足切限度額(※2)
※2 課税標準の合計額の5%相当額と10万円のいずれか低い金額
この特例は平成29年1月1日から平成33年12月31日まで適用されます。
上記のように、成分等を厚生労働省が公開している他、該当する医薬品に税制対象であることを示す識別マークを表示することになるようですが、レシートや領収書へどのように記載されるかはまだ分かっていません。我々はレシートや領収書を基に集計することになるわけですが、確定申告の業務多忙時に一つ一つ厚生労働省のホームページで医薬品名を検索するとなると現実的ではありません。どのような対応がされるでしょうか?
和知