平成27年1月1日以降の相続税(小規模宅地等の特例)の改正
平成27年1月1日以降の相続税(小規模宅地等の特例)の改正
今回は改正がありました小規模宅地等の特例をご紹介いたします。
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。
なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
平成27年1月1日以降の相続から、次のように改正されました。
①限度面積
特定事業用宅地等 減額割合80% 400㎡ → 400㎡
特定同族会社事業用宅地等 減額割合80% 400㎡ → 400㎡
特定居住用宅地等 減額割合80% 240㎡ → 「330㎡」
貸付事業用宅地等 減額割合50% 200㎡ → 200㎡
特定居住用宅地等の限度面積が拡大されました。
②特定事業用と特定居住用の完全併用
改正前:「特定事業用等宅地等」(特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等)、「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」の限度面積合計を全体で400㎡に調整していました。(限定併用)
改正後:「特定事業用等宅地等」と「特定居住用宅地等」を完全併用することができるようになりました。
〈具体例〉
特定事業用宅地 100,000千円 250㎡
特定居住用宅地等 50,000千円 200㎡
①改正前
特定事業用宅地 100,000千円×250㎡/250㎡×80%=80,000千円
特定居住用宅地等 50,000千円×90/200㎡×80%=18,000千円
→小規模宅地等の金額 80,000千円+18,000千円=98,000千円
②改正後
特定事業用宅地 100,000千円×250㎡/250㎡×80%=80,000千円
特定居住用宅地等 50,000千円×200/200㎡×80%=40,000千円
→小規模宅地等の金額 80,000千円+40,000千円=120,000千円
居住用が330㎡の面積がなくても完全併用することができることにより、小規模宅地等の金額が増加します。
平成27年1月1日以降に開始する相続から、基礎控除額の引き下げにより相続税が増税されましたが、上記のように小規模宅地等の特例が拡大されたことにより増税が緩和されています。
星野