2015年09月04日 所長・スタッフブログ

税金にはいろいろな種類があります。法人で事業を行っていると法人税や消費税の他、固定資産税や印紙税などいろいろな税目を目にすると思います。

これらの税金には、法人税法上損金の額に算入できるものとできないものがあります。また損金算入できる税金についても損金算入時期がそれぞれ規定されています。

主な税目についてどのような処理が必要か確認してみましょう。

 

(1)損金算入できない税金

 ①法人税

 ②法人住民税

 ③重加算税、過少申告加算税、延滞税などのペナルティの性格を持つ税金

 ④法人税額から控除する所得税  など

 

(2)損金算入される税金

 ①固定資産税

 ②不動産取得税

 ③登録免許税

 ④印紙税

 ⑤自動車関係税

 ⑦事業税

 ⑧事業所税

 ⑨消費税  など

 

(3)損金算入時期

 (2)の税金の損金算入時期ですが、法人税法上の考え方で「債務確定主義」と呼ばれるものがあります。これは法人の事業遂行上必要な販売費及び一般管理費について、損金算入するためには、債務が確定していることを必要条件とするものです。

 

 債務の確定とは、次の要件のすべてに該当していることをいいます。

 ①当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。

 ②当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

 ③当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

 

 これは損金算入できる税金についても同じ考え方を持っています。

 

 また各種税金については、納税者の申告により税額を確定させる「申告納税方式」と、課税庁側が計算することにより税額を確定させる「賦課課税方式」があります。

 それぞれの方式によって、債務確定の時期が異なることになります。

 

 では、それぞれ確認してみましょう。

 

①申告納税方式を採用している租税(事業税、事業所税など)

 申告納税方式を採用している租税については、申告書を提出することにより債務が確定します。したがって、申告書を提出した日の属する事業年度に損金の額に算入されます。

 ただし製造原価、工事原価などの原価のうちに申告期限未到来の事業所税を損金経理により未払金に計上したときは、その損金経理をした事業年度となります。

  

 法人税の別表四の「損金経理をした納税充当金」としての加算調整は、事業税の他、法人税や法人住民税の未納額も含んで調整します。これは会計上計上した事業税や法人税、法人住民税の差引確定税額については、債務が確定していないことから加算調整をしています。

 「損金経理をした法人税」「損金経理をした道府県民税」欄は、通常は中間納付額となります。こちらは債務は確定していますが、そもそも損金に算入できない税金であるため加算調整しているものです。考え方の違いを知っておくと、別表四の作成がスムーズにできると思います。

 

②賦課課税方式を採用している租税(固定資産税、不動産取得税など)

 賦課課税方式を採用している租税については、賦課決定があることにより債務が確定します。したがって賦課決定のあった日の属する事業年度に損金の額に算入されます。

 ただし、納期の開始日の事業年度又は実際に納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度となります。

 

 例えば不動産取得税について、不動産を購入後、賦課決定があるまでに決算期を迎えた場合は、未払金として計上したとしても損金算入させることはできません。

 

③消費税

 消費税については、税抜経理方式と税込経理方式があります。

 

 税抜経理方式を採用している場合は自動的にその課税期間の損金の額に算入されます。簡易課税方式を採用している場合など、納付すべき消費税額と仮受消費税から仮払消費税を差し引いた金額に差額が出る場合については、その差額をその課税期間を含む事業年度の益金の額又は損金の額に算入します。

 

 税込経理方式を採用している場合は、納付すべき消費税等の額は、租税公課として損金の額に算入し、還付を受ける消費税等の額は、雑収入などとして益金の額に算入します。

 消費税については申告納税方式を採用しているため、消費税の損金・益金算入時期は原則として、申告書が提出された日の属する事業年度となります。

 ただし、税抜経理方式と損金算入時期に差が生じるため、法人が申告期限未到来の納税申告書に記載すべき消費税等の額を損金経理により未払金に計上した場合又は収益の額として未収入金に計上した場合には、その計上した事業年度の損金の額又は益金の額に算入します。

 

 税込経理方式なら損金算入時期を選べるというわけですね。ただし継続性の原則の観点から、利益調整を行う目的で事業年度ごとに損金算入時期を変化させるのはよくありません。

 

 損金算入できる税金については、損金算入時期を把握することにより、意外と大きな節税効果をもたらすこともあります。ここには全ての税目について記載しておりませんので、気になる税目があればぜひ調べてみてください。

 

和知 秀永

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