【事業計画書】損益計画表のポイント・記入例
資金計画表に引き続き記入例を参考に、損益計画についてまとめてみましょう!
損益計画とは?
開業後の損益の見込み(将来の経営成績を示した数値計画)を損益計画と言います。
これから開業し、新しい事業を始める方にとっては、『どれくらいの利益が出るのか』を予測しておく必要があります。その計画をまとめたものが損益計画です。
損益計画表の売上・経費・利益などの記入
損益計画表を作るにあたって、『経営環境』、『業界事情』、『設備能力』、『競合状況』、『価格の推移』など、総合的に検討し、以下の表に、月額の損益見込みを記入してください。
損益計画表 月額ベース(単位:万円)
創業当初 | 3年後 | 備考欄 | ||
売上高(1) | 売上予測高 | |||
売上原価(2) | 原価率で概算計算 | |||
売上総利益(3)[(1)-(2)] | ||||
諸経費 | 人件費 | |||
家賃 | ||||
減価償却費 | ||||
○○費 | 事業における重要な経費など | |||
他 | ||||
諸経費合計(4) | ||||
利益(5)[(3)-(4)] |
創業当初 | 3年後 | 備考欄 | ||
利益(5) | ||||
減価償却費(6) | ||||
返済可能額(7)[(5)+(6)] |
借入金返済額(8)は、返済可能額(7)以内に抑える。
創業当初 | 3年後 | 備考欄 | ||
借入金返済額(8) |
損益計画表作成のポイント
個人事業の場合、事業主の給与は経費にはなりませんので、上記の利益(5)から捻出することになります。返済可能額(7)は以上を考慮して考えてください。
借入金の返済財源 = 当期純利益 + 減価償却費
減価償却費について
減価償却費とは、機械や備品等の資産の価値が目減りすることを言います。
減価償却費は、現金の支出がない経費のため、借入金返済のための財源となります。
※減価償却費の計算方法には、定額法と定率法があります。
300万の機械装置を耐用年数10年の定額法で、200万の備品関係を耐用年数5年の定率法でそれぞれ計算すると、1ヶ月あたりの減価償却費は約5万円となります。
損益計画表の計算方法
1.売上・売上総利益の予測
売上高 客単価2000円×客数40人×営業日数25日 = 月間200万円
売上原価 売上高200万円×20% = 40万円
2.諸経費の予測
人件費 20万円×4人 = 80万円
諸経費合計 人件費80万円+家賃20万円+減価償却費5万円+支払い利息1万円+他34万円(水道光熱費・消耗品費・広告宣伝費など) = 140万円
3.利益予測
月間利益 売上総利益160万円-諸経費合計140万円 = 20万円
4.返済可能額
返済可能額 = 利益20万円+減価償却費5万円 = 25万円
5.借入金返済額
借入金返済額 = 借入金400万円÷5年返済÷12ヶ月 = 約7万円
オーナーの手元に残るお金・3年後目標
オーナーの手元に残るお金 = 25万円-約7万円 = 18万円
3年後目標 売上高50%増 見込み
損益計画表の書き方・記入例
京都太郎の損益計画表 月額ベース(単位:万円)
※万円未満は四捨五入で計算
創業当初 | 3年後 | 備考欄 | ||
売上高(1) | 200 | 300 | @2000円×40人/日×25日 | |
売上原価(2) | 40 | 60 | 売上の20%を原価とする | |
売上総利益(3)[(1)-(2)] | 160 | 240 | ||
諸経費 | 人件費 | 80 | 120 | 20万円×4人で計算 |
家賃 | 20 | 30 | 売上の10%以下に抑える | |
減価償却費 | 5 | 5 | ||
支払い利息 | 1 | 1 | ||
他 | 34 | 54 | 水道光熱費・消耗品費・広告宣伝費など | |
諸経費合計(4) | 140 | 210 | ||
利益(5)[(3)-(4)] | 20 | 30 | 売上の10%を目指す。 |
創業当初 | 3年後 | 備考欄 | ||
利益(5) | 20 | 30 | ||
減価償却費(6) | 5 | 5 | ||
返済可能額(7)[(5)+(6)] | 25 | 35 | 借入金返済額(8)と比較 |
借入金返済額は、返済可能額以内に抑える。
創業当初 | 3年後 | 備考欄 | ||
借入金返済額(8) | 7 | 7 |
沢辺税理士事務所からのワンポイントアドバイス
個人事業主の場合は、手元に残るお金から生活することになります。
法人の場合は、役員報酬が経費となり、役員報酬で生活することになります。
損益計画表では利益が確保できて、返済・生活費等を考慮しても資金が不足しないか等、事業として成立しているのかじっくりと検討して下さい。