27年度税制改正⑬ 空家対策の固定資産税の見直し
平成27年度税制改正 第13回~空家対策の固定資産税等の住宅用地特例の見直し~
今回は「空家対策の固定資産税等の住宅用地特例の見直し」についてご案内いたします。
平成27年度の税制改正で、全国的に問題となっている空家対策を支援する観点から、固定資産税等の住宅用地特例が見直されました。
全国的に増加する空家を問題視した政府は、平成27年2月26日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行し、空家の除却・適正管理を促進するための措置を講じていますが、人口の減少に伴い、今後も空家は増加することが懸念されています。
空家が放置されると、単に景観だけの問題ではなく、建物の倒壊や火災の危険等があります。
空家の基準として、建物への人の出入りや電気・ガス・水道の使用状況などをふまえ、1年間を通じて使われていないこととし、適切な管理が行なわれていない空家について、固定資産税等にかかる住宅用地特例を解除する措置が講じられます。
この住宅用地特例では、人の居住の用に供する家屋の敷地に供される住宅用地については、下記のとおり固定資産税の課税標準を軽減しています。
200㎡以下の部分・・・ 固定資産税の課税標準 1/6に減額
200㎡を超える部分・・・固定資産税の課税標準 1/3に減額
改正により、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の規定に基づいて、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にある空家等(特定空家等)の所有者に対して、市町村長が必要な措置をとることを指導等した後、改善されない場合は勧告し、その後も所有者が対応しなければ、その特定空家等にかかる敷地は、上記の固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外される措置が講じられ、特定空家等にかかる敷地の固定資産税は最大でこれまでの6倍になります。
なお、国土交通省によると平成25年10月1日時点で、全国にはおよそ820万戸もの空家が存在しています。
<ポイント>
今回の改正で、特定空家等の敷地は、建物があったとしても更地と同じ固定資産税が課税されることになりました。つまり、固定資産税が最大で6倍になります。
空家増加の背景には、空家であっても建物を残しておいた方が、更地にするよりも固定資産税が軽減されるという仕組みにあります。
たしかに住まなくなったからといって固定資産税が高くなることがわかっていて、わざわざ建物の取り壊し費用をかけてまで更地にする人はいませんよね。
今後は空家を放置せずに、売却・再利用などを検討する必要があります。
星野