大数の法則と収支相等の原則、保険契約者保護機構による契約者保護
保険の原則となる2つの法則について理解し、保険契約における契約者保護にはどのような制度があるのか知っておきましょう。
基盤となる大数の法則と収支相等の原則 2つの保険の原則
保険制度は以下の2つの原則から成り立っています。
大数の法則とは
確率論・統計学における基本定理のひとつであり、少数では何の法則も見られないことであっても、大数であれば一定の法則が発見できることを指します。
例
よく出される例として、サイコロの目があります。1回ふるだけでは特定の目が出るだけですが、何万回と膨大に繰り返せば、1から6まで均等に目が出るようになっており、大量に試行を繰り返すことで、一定の法則が導き出されます。
収支相等の原則とは
保険料を支払う人が保険金支払いを受けなかった場合、支出のみになりますが、保険契約者全体で見た場合、保険契約者全体の支払い額+運用収益が、保険会社が支払う保険金+経費と等しくなるように計算されています。
一定の確率による計算がおこなわれており、以下の等式が成り立ちます。
(保険料徴収額+運用収益)保険会社の収入 = (保険金支払い総額+経費など)保険会社の支出
人間の生死などについて、支払う人、受け取る人、それぞれがお互いに助け合う制度と言われます。
保険契約者保護機構・クーリングオフ制度などによる契約者の保護
保険契約者保護機構とは
保険会社が破綻した場合、契約者を保護するために設立された法人であり、国内の生命保険会社・損害保険会社は加入が義務付けられています。
ですが、少額短期保険業者や共済には、保険契約者保護機構への加入義務はありません。
少額短期保険業者とは、
保険金額が少額・短期・掛け捨ての商品のみ取り扱いが可能で、1人の被保険者から引き受ける保険金額の総額が原則1000万以内に限られます。
生命保険契約者保護機構 | 損害保険契約者保護機構 |
保険会社が支払う保険金のために積み立てておく責任準備金の90%まで補償 | 保険金の80〜100%を補償 ※自賠責保険・地震保険は100%など、保険の種類によって補償は異なります。 |
クーリングオフ制度とは
通常であれば、契約後に何の理由もなく解約はできませんが、契約した後であっても一定の期間内に要件を満たせば、消費者側から一方的に契約を解除することができる制度のことです。
保険契約のクーリングオフ制度
契約の申込日、または、クーリングオフ制度について記載された書面を受け取った日、どちらか遅い日から8日以内に、保険申込みの撤回または解除を書面で行います。
クーリングオフができない場合に注意!
- 保険会社の営業所に出向いて契約した場合
- 保険期間が1年以内で、短い保険の場合
- 契約の際、医師の診査を受けた場合
ソルベンシー・マージン比率とは
通常では予測できない事態が発生した場合、保険会社が支払いすることができるか判断する指標のことを指します。
数値が高いほど安全性が高く、200%以上が健全であり、200%を下回る場合、経営の健全性を回復させるため、金融庁から早期是正措置が出されます。
ソルベンシーマージン比率は、各保険会社のWebサイトに公開されていますので、興味がある場合は調査してみましょう。
京都ミライズ税理士法人からのワンポイントアドバイス
クーリングオフは保険契約にも適用できます。
ただクーリングオフをすることが無いように、じっくり検討してから保険は加入しましょう。
※投稿時点の情報であり、現在の法律と変わっている可能性がございます。ご了承くださいませ。